2004.12.17 湯布院へ

「あんた、明日会社休み。温泉でも行くよ。」

忙しさで一、二位を争うような部署から部署へ配属されて、足掛け6年。
疲れが溜まっている私の様子を見て、“こりゃいかん”と思ったのか、突如殿が言ってきた。

私も内心“最近の疲れ方はまずいなー”と思ってたので、ここで忙しいからって職場に行ったところで、大した動きはできないような気がし、急遽休みを取ることにした。

行き先は大分県、湯布院温泉。
山間にあるこぢんまりとした温泉地で、離れを備えたお宿や、情緒あるお宿も多く、人気の高い場所。

週末は予約も取り辛いんだけど、12月のそれも平日とあって、すんなりと部屋を取る事ができた。

出発の朝。
冬とは思えないほど、すっきりとした良い天気。
高速道路を九州自動車道から大分自動車道へ入り、湯布院ICまで走る。
途中、由布岳が見えてきた。
高さ1,584m。
頂上が2つに分かれてる男性的な格好良い山。
目指す湯布院は、あの山の麓にある。
家を出て2時間。
湯布院ICに到着〜。
チェックインの前に、軽く由布院を巡ってみる。
まずは金鱗湖(きんりんこ)へ。
飛び跳ねた魚の鱗が、夕陽に照らされて金色に輝いて見えた事から、この名前がついたとされている。

ここの湖は、清水と温泉の両方が湖底から湧き出してる珍しい湖。
そのため水温が高く、冬の寒〜い日に来ると湖から湯気が立ち上り、とても幻想的。
今日は寒くもなく、風もないので、穏やかな鏡のような湖面を見せてる。
湖の入り口には、アヒルだかガチョウだかが徒党を組んで、のっしのっしと歩いてる。
とても人懐っこくて、おねだり上手なので、観光客から餌をもらって、このとおり。
丸々。デブデブ。

お尻をプリップリ振りながら、何やらガーガー話しつつ歩いてる姿が可愛くて、観光客の熱い視線を集めてる。

金鱗湖は観光地になってるので、入り口付近はバスが着くたびに観光客がワーッとやってきて、とても賑やか。
だけど、それも入口の所だけで、ちょっと奥まで歩いていけば静かな湖の景色を楽しむ事ができる。

湖の畔から、亀の井別荘へ景色を楽しみながら歩いていき、敷地内にある天井桟敷へ。
江戸時代の造り酒屋の屋根裏を改装した喫茶室なんだけど、屋根裏独特のほの暗さと、秘密部屋のような感覚が心地良く、妙に落ち着く。

暗い室内に差し込む光が、殊の外美しい。
殿はコーヒー、私はホットミルクを頼んでしばしくつろぐ。
ふっかりと座る事のできる椅子で、しばらくホゲ〜〜〜ッとしてから、再び金鱗湖畔へ戻る。
さっき、湖の畔に山下清画伯のギャラリーがあるのを見つけてたのだ。
裸の大将のイメージが強い山下氏だけど、その作品は繊細でぐっと心を掴まれる。

現在、山下氏の贋作が多く出回っていて、正直ここも公式HPには掲載されていなかったので、本物かどうかは分かんないけど、中にひとつ目を惹きつけられてその作品の前から動けなくなったものがあった。
もし贋作だとしても、この作品を見られただけでいいや、という気分になりギャラリーを後にする。
冬色の山並みを眺めつつ、由布岳を眺めるために車を走らせる。

湯布院を象徴する由布岳は、角度によって、その頂が2つに分かれてたり、1つだけだったりと見え方が異なる。
「綺麗に見える場所があるよ。」
と、殿が案内してくれた場所で、しばらく田んぼに座りホゲ〜ッとその秀麗な姿を眺める。

時々通るJRや周囲の景色が、傾いてきた陽に照らされて、のどかな時間が流れてく。



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