夜を越えて、翌日。 今回の旅のきっかけとなった桜陶祭へ。 なめらかな白磁が美しい、波佐見焼の窯元が集まる中尾山で開かれる祭りだ。 普段は、業者へ磁器を卸しているため一般公開されていない窯元も、この日は割引で1枚から購入できる。 桜陶祭の名物が「陶箱弁当」。 各窯元が趣向を凝らして焼いた器に、ごはんとおかずを盛り付けた弁当で、桜陶祭にあわせて限定販売されている。 人気の窯元になると、2月には予約で売り切れてしまうこともあるため、窯元が決まっていたら予約必須。 |
|
あれは、昨年のこと。 母と2人で桜陶祭へ行こうと、ある窯元へ陶箱弁当の予約をし、その日を楽しみに待っていたのだが、直前にヘルニアが悪化。 歩くのがやっとの状態で、とても中尾山の坂道を登れる状態ではなく、泣く泣くキャンセルをすることになってしまった。 直前も直前。桜陶祭前日のキャンセル。器の小さな私が逆の立場であれば、憤慨ものだ。 失礼なことをするからには、きちんと理由を言わねばなるまい。 キャンセルしたい旨と理由を話し、失礼を詫びて受話器を置いた。 それから数日。我家に覚えのない小包が届いた。 開いてみると、予約していた陶箱弁当の器と、手紙が入っていた。 キャンセルをした窯元からだ。 手紙には、ヘルニアを気遣ってくださる言葉と、1枚分の土が余っていたことが綴られていた。 恐らく、わざわざ焼いてくださったもの。 以来、今年の桜陶祭には必ず足を運んで、直接お礼を申し上げねばならないと、ずっとずっと思っていたのだ。 お会いした社長さんと女将さんは、笑顔で迎えてくださり、1年間の胸のつかえが取れた思いがした。 もっと話したかったけれど、人見知りしてしまう私は早々に退散・・・。まったくもう! |
|
さて。 桜陶祭会場近辺の地図を眺めていると、武雄(佐賀県)に気になるもの発見。 この、短い線路。 こりゃ一体何だ? |
|
これだった。 「レールバス のぼるくん」 |
|
場所は、県立宇宙科学館駐車場のすぐ隣。 この駅舎が目印。 早速入ってみると、おじさまがお昼ごはんの真っ最中。 愛妻弁当らしきご飯をモグモグとさせながら、 「今、上に行ってるから20分くらいかかるよ」 と。 田舎の、非常にゆるい空気が漂っている。 気に入った! |
|
線路は、ミカン山に設置されたトロッコのような、細〜いレールが1本。 | |
のぼるくんが到着すると、モグモグおじさんの運転兼ガイドで頂上へ。 途中、何度も警笛を鳴らすので何事かと見ると、眼下に見える湖の畔に知り合いを発見した模様。 手を降るモグモグおじさん。 手を振り返す知り合いらしきおじさん。 ・・・何とものどかである。 この細いレールに、あの大きな車体を乗せて、こんな急斜面も登ってしまう。 頂上に着くとおじさんが 「駅舎の上が展望台になってるから、下に人が来なければ待ってますよ。 お客さんが来たら下っていくので、帰る時はこのボタンで呼んでください。」 と、頂上駅にあるボタンの使い道を教えてくれた。 どうやら運行時間は決まってなく、お客さんが着たら運行しているようだ。 料金、片道100円。 |
|
展望台からの眺め。 |
|
のぼるくんで下り、隣接する宇宙科学館でプラネタリウムを見る。 子供の頃以来のプラネタリウムに心躍らせていたものの、ごく簡単な星の解説と、星の王子様のアニメが上映されておしまい。 それもそのはず。 確認すると「小学校低学年向け」のプログラムだった。 音響や施設、解説員の発音の仕方などは素晴らしかったので、次回はぜひ、大人向けのプログラムに合わせて来てみたい。 |