2008.04.06 武雄の、のぼるくん

夜を越えて、翌日。

今回の旅のきっかけとなった桜陶祭へ。
なめらかな白磁が美しい、波佐見焼の窯元が集まる中尾山で開かれる祭りだ。
普段は、業者へ磁器を卸しているため一般公開されていない窯元も、この日は割引で1枚から購入できる。

桜陶祭の名物が「陶箱弁当」。
各窯元が趣向を凝らして焼いた器に、ごはんとおかずを盛り付けた弁当で、桜陶祭にあわせて限定販売されている。
人気の窯元になると、2月には予約で売り切れてしまうこともあるため、窯元が決まっていたら予約必須。
あれは、昨年のこと。

母と2人で桜陶祭へ行こうと、ある窯元へ陶箱弁当の予約をし、その日を楽しみに待っていたのだが、直前にヘルニアが悪化。
歩くのがやっとの状態で、とても中尾山の坂道を登れる状態ではなく、泣く泣くキャンセルをすることになってしまった。

直前も直前。桜陶祭前日のキャンセル。器の小さな私が逆の立場であれば、憤慨ものだ。
失礼なことをするからには、きちんと理由を言わねばなるまい。

キャンセルしたい旨と理由を話し、失礼を詫びて受話器を置いた。

それから数日。我家に覚えのない小包が届いた。
開いてみると、予約していた陶箱弁当の器と、手紙が入っていた。
キャンセルをした窯元からだ。
手紙には、ヘルニアを気遣ってくださる言葉と、1枚分の土が余っていたことが綴られていた。
恐らく、わざわざ焼いてくださったもの。
以来、今年の桜陶祭には必ず足を運んで、直接お礼を申し上げねばならないと、ずっとずっと思っていたのだ。

お会いした社長さんと女将さんは、笑顔で迎えてくださり、1年間の胸のつかえが取れた思いがした。
もっと話したかったけれど、人見知りしてしまう私は早々に退散・・・。まったくもう!
さて。
桜陶祭会場近辺の地図を眺めていると、武雄(佐賀県)に気になるもの発見。

この、短い線路。
こりゃ一体何だ?
これだった。
「レールバス のぼるくん」
場所は、県立宇宙科学館駐車場のすぐ隣。
この駅舎が目印。

早速入ってみると、おじさまがお昼ごはんの真っ最中。
愛妻弁当らしきご飯をモグモグとさせながら、
「今、上に行ってるから20分くらいかかるよ」
と。

田舎の、非常にゆるい空気が漂っている。
気に入った!
線路は、ミカン山に設置されたトロッコのような、細〜いレールが1本。
のぼるくんが到着すると、モグモグおじさんの運転兼ガイドで頂上へ。

途中、何度も警笛を鳴らすので何事かと見ると、眼下に見える湖の畔に知り合いを発見した模様。
手を降るモグモグおじさん。
手を振り返す知り合いらしきおじさん。
・・・何とものどかである。

この細いレールに、あの大きな車体を乗せて、こんな急斜面も登ってしまう。

頂上に着くとおじさんが
「駅舎の上が展望台になってるから、下に人が来なければ待ってますよ。
お客さんが来たら下っていくので、帰る時はこのボタンで呼んでください。」
と、頂上駅にあるボタンの使い道を教えてくれた。

どうやら運行時間は決まってなく、お客さんが着たら運行しているようだ。
料金、片道100円。
展望台からの眺め。
のぼるくんで下り、隣接する宇宙科学館でプラネタリウムを見る。
子供の頃以来のプラネタリウムに心躍らせていたものの、ごく簡単な星の解説と、星の王子様のアニメが上映されておしまい。
それもそのはず。
確認すると「小学校低学年向け」のプログラムだった。

音響や施設、解説員の発音の仕方などは素晴らしかったので、次回はぜひ、大人向けのプログラムに合わせて来てみたい。



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